そのQRコード、本当に安全?

オンラインイベントの告知などでQRコードを見かけるたび、開発者として少し気になっていることがありました。
多くの人が手軽な外部の無料サービスでこれらを作成しているようですが、その裏側にある仕組みを考えると、「そのQRコード、本当に安全なのだろうか?」と。
この小さな疑問をきっかけに調べてみると、多くの人が無意識に使っているその裏側で、思った以上に看過できないリスクが潜んでいることが見えてきました。
便利な外部ツールの裏側と「クイッシング」の脅威
問題の核心は、多くの無料作成サイトが採用している「サーバーサイド処理」という仕組みにあります。これは、ユーザーが入力した情報を一度サービス提供者のサーバーに送り、そこでQRコードを生成して返すというもの。このデータの往復こそが、私が懸念したリスクの根源でした。
1. 意図せぬ情報漏洩
もし、あなたがQRコードにしたいURLが、まだ世に出ていないサービスの極秘URLだったら?あるいは、関係者しか知らないオンライン会議のリンクだったら?その情報は、サービス側にすべて渡ってしまいます。悪意のあるサービスでなくとも、そのサーバーがサイバー攻撃を受ければ、あなたの重要な情報が漏洩する危険性を否定できません。
2. 巧妙化する詐欺「クイッシング」の脅威
さらに深刻なのが、「クイッシング(Quishing)」と呼ばれるQRコードを悪用したフィッシング詐欺です。正規のQRコードを偽の決済サイトや情報入力フォームに繋がるものにすり替える手口で、海外の駐車場や、国内の大手企業を騙ったDMでも被害が報告されています。
Excelでの作成と、開発者としてのジレンマ
かくいう私自身も、以前はExcelでQRコードを作成していました。
クライアントの情報を扱うこともあり、得体の知れないWebサービスにURLを渡すことに、開発者としてどうしても抵抗があったからです。
でも、ご経験のある方なら分かると思いますが、正直言って面倒なんですよね。毎回Excelを立ち上げて、アドインを呼び出して…。それに、見た目も画一的で、デザインに凝った告知物には少し馴染まない。この一手間とデザインの制約が、ずっと引っかかっていました。
手軽さをとってリスクを受け入れるか、安全性をとって面倒さと見た目を我慢するか。 このジレンマを解決できる、自分が本当に安心して使えるツールが見つからなかった。
ならば、自分で作るしかない。それが、このプロジェクトの始まりでした。
私の出した答え。「安全性」と「利便性」を両立する仕組み
私が目指したのは、「Excel並みの安全性」と「Webツールの手軽さとデザイン性」の両立でした。そのためにこだわったのが、ブラウザの中だけで、すべての処理を完結させることです。
私が作った「Secure QR Generator」では、入力された情報はサーバーに一切送られません。お使いのブラウザが持つ計算能力だけでQRコードを描画します。さらに、生成した画像をダウンロードする時でさえ、サーバーは介在しません。「Blob」という技術でブラウザ内に一時的なファイルを作り、そこから直接ダウンロードする仕組みです。
これにより、Excelと同等の安全性を確保した上で、さらに一歩進んだ利便性を提供しました。無機質になりがちなQRコードのドットのパターンを変えたり、中央にロゴなどのアイコンを配置したりできるようにしたのです。
厳密に言えば、これらのデザイン変更はQRコードの規格から少し外れる部分もあります。しかし、読み取り精度を損なわない範囲で、ユーザーが「使いたい」と思えるデザイン性と、開発者として譲れない「セキュリティ」を両立させるために、あえてこの機能を実装しました。
最後に
もし、あなたも私と同じように、かつての私のように、QRコード作成の安全性と手間、そしてデザインとの間で少しでもモヤモヤした経験があるなら。
ぜひ一度、この「Secure QR Generator」を試してみてください。
この「ユーザーのプライバシーを第一に考える」という思想を徹底するため、このサイトではGoogle Analyticsのようなアクセス解析ツールさえも導入していません。
Excelを立ち上げるよりずっと速く、そして、あの頃の私が求めていた本物の安心感と、ちょっとした遊び心を提供できるはずです。
→ 私が作ったQRコード生成ツール「Secure QR Generator」
※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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